2013年4月4日木曜日

ブログ書評第1回『統計学が最強の学問である』

信州大学新入生の皆さん、入学おめでとうございます!
ビブリオバトル信州の顧問をしてます、経済学部講師の荒戸寛樹です。

ビブリオバトル信州は、書評ゲーム「ビブリオバトル」を楽しみ、信州に広めていこうという学生サークルです。
まだ2年目の若いサークルですが、徐々に信州にも広がりつつあるビブリオバトルをさらに盛り上げていきたいと思っています。
本好きの方、本が知りたい方、イベントを作ってみたい方を幅広く募集しています。
新歓の日程は↑をご覧下さいね。


てなわけで、今年度からの新しい企画として、ブログ書評を始めることにしました!
小説やラノベからドキュメンタリー、絵本、写真集まで、
ビブリオバトル信州各メンバーが得意としている分野の本を週一回ほどアップしていく予定です。

記念すべき最初の本は、新入生におすすめするこの一冊、
西内啓『統計学が最強の学問である』です。


大学に新しく入った皆さんも、上級生の皆さんも、「そろそろどんな授業を取ろうかなあ」と考えているところですよね(そうじゃないなら、そろそろ考えはじめましょうw)。

授業選びの中で、「統計学」って、(特に上級生は)典型的に避けちゃう授業じゃないかと思います。数式まみれの堅っ苦しい学問で、いっぱい勉強しなきゃいけないし、でも何故か必修になっているし・・・しょうがない、友だちからノートと過去問もらって暗記してなんとか乗り切るか・・・みたいな。

でも、そんな嫌われ者の「統計学」が、なんだかエキサイティングでSFチックで、だけど実際に人の役に立っている、身近なスグレモノに見えてきちゃうのが、この本。
例えば医学では、原因不明の疫病の原因は何かを探るために、統計学が使われています。実際、この本によれば、非常に簡単な統計のテクニックだけで、10万人の命を助けた例が挙げられています。他にも、工学、情報学、経済学、経営学、社会学、心理学、果ては、なんと歴史学や文学にいたるまで、もはや統計学が仕事にも学問にも欠かせない強力なツールになっていることがスイスイわかります。

私の専門であるマクロ経済学でも統計学の力をいっぱい借りていますし、マクロ経済学に近い分野で貧しい国の人を救うための研究分野である「開発経済学」でも、この本に載っている「ランダム化比較実験」という手法が使われています。

まさに、統計学は「最強の学問」です。

大学の授業で統計学なんてもうやだー!と思ったら、この本を持って先生に尋ねてみて下さい。「先生、この授業の統計学で、人は救えますか?」と。いい先生だったら、統計学がどれだけ人の役に立っているか、きっと熱く語ってくれるはずだと思います。

しかも、この本はそれだけじゃないのです。
言葉と絵だけで、基本的な統計テクニックが直観的にわかっちゃう。おそらく、大学で難しい数式を使った授業がされていても、そういう直観的なイメージを掴んでおくと、単位も取りやすいと思いますよ!そして実は、そういう直観的な理解こそ、大学の先生方が学生に身につけて欲しいと思っている一つの重要な力なんです。
(でも、数式やコンピュータを使った考え方もちゃんと勉強しましょうねw!それが単位を取るだけじゃなく、「ちゃんと」人を救える人になるための道だと僕は思います。)

この本、いま、激売れです。街の本屋さんでも、すぐ見つけられます。
ぜひぜひ、読んでみて下さい。

最後に、この本に引用されている、Googleのチーフエコノミストであるハル・ヴァリアンという人(←この人はスゴい経済学者です!)の言葉を書いておきます。

「私はこれからの10年で最もセクシーな職業は、統計家だろうと言い続けてるんだ。」

あなたも、この本を読んで、今よりもっと、セクシーになってみませんか?


ビブリオバトル信州・顧問
信州大学経済学部講師 荒戸寛樹