2014年11月7日金曜日

中部Bブロック地区予選&地区決戦 終了!

「全国大学ビブリオバトル2014~京都決戦~」の中部Bブロック地区予選・地区決戦が終了いたしました!

今年は、工学部図書館での予選会初開催など開催エリアをひろげることができ、前年よりも多くの方々にご参加いただくことができました。

さて、ここからは、第2回・第3回予選会、地区決戦での発表本を一気に紹介します!

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【第2回予選会の結果報告】

10月18日(土)、工学部図書館にて第2回予選会が開催されました。
晴天の下、光芒祭(工学部文化祭)&オープンキャンパスということもあり、一般の方々にも多くご覧いただきました。

2ゲーム行われ、それぞれ以下の本が紹介されました。
(第1ゲーム)
1.東野圭吾『容疑者Xの献身』
2.新井紀子『ロボットは東大に入れるか』
3.森見登美彦『四畳半神話体系』
→『ロボットは東大に入れるか』がチャンプ本になりました。

(第2ゲーム)
1.セシリア アハーン(翻訳:林真理子)『P.S.アイラヴユー』
2.松波 成行『国道の謎』
3.木原直哉『運と実力の間(あわい)』
→『国道の謎』がチャンプ本になりました。

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【第3回予選会の結果報告】

10月21日(火)、第3回予選会が行われました。
(信大経済学部の2ゼミ合同企画)

紹介本は、
1.宮沢賢治『やまなし(宮沢賢治のおはなし (3) やまなし/いちょうの実)』
2.杉田圭『うた恋い。』
3.香月日輪『妖怪アパートの優雅な日常』
4.ダンカン・ワッツ『偶然の科学』
→『偶然の科学』がチャンプ本になりました。

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【地区決戦の結果報告】

11月1日(土)、地区決戦が行われました。
雨が降る中で観客が来るのかと心配していましたが、前年よりも多くのお客様にご観覧いただくことができ、嬉しい限りです!

紹介本は、
1.森見登美彦『恋文の技術』
2.河北稔『砂糖の世界史』
3.仁科邦男『犬たちの明治維新』
4.行徒妹『北斗の拳 イチゴ味』
→『犬たちの明治維新』がチャンプ本になりました。
(チャンプ本を獲得した鈴木くん(信大経済4年)が、京都決戦へ出場します!良い結果になるよう祈ります。)

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来年は、今年以上にエリア拡大&参加者数が増えることを願いつつ・・・

「中部Bブロック地区予選・地区決戦」にご協力・参戦・観戦してくださった皆様、本当にありがとうございました。

2014年10月23日木曜日

11月3日(月祝)塩尻市立図書館、11月15日(土)甲州市立塩山図書館でビブリオバトル開催!

11月は開催が続きます。
皆様是非ご参加下さい!

3日は塩尻市立図書館でビブリオバトルです。
今年も開催して下さいます!

日時:11月3日(月祝)午後2時30分~
場所:塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階 会議室302・303
詳細:塩尻市立図書館ホームページ
https://www.library-shiojiri.jp/


15日は山梨の甲州市立塩山図書館でビブリオバトルです。
早くも3回めの開催です!

日時:11月15日(土)午後5時30分~
場所:甲州市立塩山図書館
詳細:甲州市立図書館ホームページ
http://www.lib-koshu.jp/


お近くの方もそうでない方もお気軽にお越しください。
11月1日の地区決戦もよろしくお願いします!

2014年10月15日水曜日

中部地区 地区決戦情報

告知を忘れておりました・・・


中部B地区(長野・山梨エリア)の地区決戦が、以下の日時と場所で行われます!


日時:11月1日(土) 午後2時~
場所:信州大学理学部第2講義室

ぜひ来てください!!

2014年10月11日土曜日

全国大学ビブリオバトル2014 中部内陸地区予選会情報その2

予選会の日程について、続報です!


第2回
・10月18日(土) 午後1時30分~3時
・信州大学工学部図書館 1階 リフレッシュコーナーにて


第3回
・10月21日(火) 午後4時30分~
・信州大学経済学部 新棟第4講義室にて


第4回
・10月30日(木) 午後6時~
・信大経済学部 新棟503演習室にて


参戦希望や、その他お問い合わせはコチラまで↓↓
メール biblioshinshu[at]gmail.com ([at]は@に置き換えてください)
twitter  @biblioshinshu

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【第1回予選会の結果報告】

10月3日(金)、第1回予選会が行われました!

1ゲームを7人(!)で行う展開となりまして、以下の本が紹介されました。

1.『向日葵の咲かない夏』道尾秀介.
2.『変身』Franz Kafka.
3.『The Kite Runner』Khaled Hosseini.
4.『雪にツバサ』高橋しん.
5.『日本のいちばん長い日』大宅壮一.
6.『そこにシワがあるから─エクストリーム・アイロニング奮闘記』松澤等.
7.『危機の宰相』沢木耕太郎.

チャンプ本は『向日葵の咲かない夏』に決定!!
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2014年9月26日金曜日

全国大学ビブリオバトル2014 中部内陸地区予選会情報 その1

今年も、全国大学ビブリオバトルの季節がやってまいりました。
(公式ページはこちら→全国大学ビブリオバトル2014

この全国大会につながる予選会を、長野県内でも行ないます!

日程ですが・・・


第1回 
・10月3日(金) 午後4時30分~ 
・信州大学経済学部新棟502演習室にて

第2回 
・10月18日(土) 午後1時30分~ 
・信州大学工学部図書館 1階 リフレッシュコーナーにて

(第3回以降 調整中  決まり次第お知らせします)


観戦は自由です。ぜひ見に来てください!

※上記の予選会に出場をご希望の方(大学生・大学院生に限る)は、以下までご一報ください。
メール biblioshinshu[at]gmail.com ([at]は@に置き換えてください)
twitter  @biblioshinshu



 

2014年9月9日火曜日

ブログ書評第30回『世界をひとりで歩いてみた』

おひさしぶりです、今回ブログを書かせていただく近藤です。ブログ書評もこの度で第30回ということですが、今回紹介させていただく本にも30という数字が偶然にも入っております。

タイトルはズバリ、『世界をひとりで歩いてみた 女30にして旅に目覚める』です。著者はタレントの眞鍋かをりさんで、祥伝社から出版されています



ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、彼女の趣味のひとつに、「一人海外旅行」というのがあります。それも殆どがノープランで、思い立ったが吉日とばかりに、その日のうちにふらっと海外へ行ってしまうそうです。

「自分探しの旅」という言葉がありますが、眞鍋さんが旅をする理由はそこでは無いそうです。
彼女が感じているのは「今までの自分とは少し違った自分になれる」ということであり、そこに楽しさを感じてひとり旅を何度もされているのだそうです。

私事ながら、僕も一人で旅をすることが好きでして、海外とまではいきませんが、日本国内でいろいろな所へカバンとカメラを携えて行くことがあります。その旅先で出会った人との交流や、トラブルに遭うことで、少しだけ違う自分になるというのはとても共感できます。国内でさえそう感じるのだから、海外となればより一層その感情は強くなるのでしょう。

眞鍋さんが30歳にして初めての「ひとり旅」をしてからこの本を出版されるまでの間に、彼女がプライベートで訪れた国は14ヶ国に上るそうです。この本では、そのなかでも数か国に絞って、彼女の体験が綴られています。

この本を読んで、僕は「海外へひとりで行くのもおもしろそうだな」と感じました。僕は英語も達者ではありませんし、コミュニケーション能力も高い方ではありません。それでも「行きたい」と思わせてくれるくらい、海外ひとり旅の魅力が語られている一冊です。ひとり旅をしたことのない方も、この本を手に取り、そしてひとり旅へ出かけてみませんか?

2014年8月20日水曜日

【開催情報】ビブリオバトルin高遠

昨年初開催され好評だった長野県高遠町でのビブリオバトル、今年も開催決定です!

日時:2014年9月21日(日)午後2時から
場所:長野県高遠町「仙醸蔵」
主催・お問い合わせは、伊那市高遠町図書館まで。





この期間、高遠町では「高遠ブックフェスティバル」(9月20~23日)と「としょかんまつり」(9月20、21日)が同時に開かれていて、ビブリオバトル以外にも本に関わるイベントが多数行われます。

是非お越しください!

2014年8月19日火曜日

2014.8.10 市立飯山図書館ビブリオバトル

2014年8月10日(日)、市立飯山図書館にてビブリオバトルが開催されました!

ビブリオバトルは図書館まつりのイベントの一つとして行われ、
この他にも古本市、体験学習などが行われていました。

さて、ゲームの方は13:00から2ゲーム行われました。
ビブリオバトル信州からも3名出場したほか、学校の先生や高校生などからも発表があり、
すばらしい紹介が勢ぞろいしました!

紹介された本は、
【第1ゲーム】
①小野不由美『十二国記』
②ひすいこたろう『あした死ぬかもよ』
③夢枕獏『神々の山嶺』
④梅棹忠夫『文明の生態史観』
⑤『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社文庫版)
で、チャンプ本は『十二国記』でした!

【第2ゲーム】 テーマ:「たび」
①有川浩『三匹のおっさん ふたたび』
②山口幸三郎『探偵★日暮旅人の探し物』
③H.G. ウェルズ 『タイムマシン』
④眞鍋かをり『世界をひとりで歩いてみた』
⑤奥村隆『反コミュニケーション』
で、チャンプ本は『反コミュニケーション』でした!

終了後の歓談では、観覧者の方から「私もやってみたい」という感想をいただき、
私たちも楽しませていただきました。
次回もぜひ参加したいと思います!

ps:
「全国大学ビブリオバトル」の季節がやって来ております。
全国への最終予選にあたる「地区決戦」が、長野県で今年も開催の予定です。
11月1日(土)に信州大学にて開催予定です!!
(詳細は決まり次第お知らせします。)

2014年8月15日金曜日

ブログ書評第29回 『反コミュニケーション』

復活したブログ書評第2回目の投稿をさせていただきます、村上です。

今回私が紹介させていただくのは、奥村隆『反コミュニケーション』(弘文堂)です。



みなさんはコミュニケーションがお好きでしょうか。私はどうもコミュニケーションをとるのが苦手なのですが、嫌いとは思っていません。誰かに話しかけられればうれしいですし、興味がある話題について会話が弾めば楽しいと感じます。むしろコミュニケーションは人間が生きるうえで必要不可欠なものではないでしょうか。

そんな私はこの本を見つけ、「コミュニケーションに反してこの著者はどう生きていくのだろう」と考え手に取ってみたのですが、どうやら著者は「コミュニケーション反対!」と言っているわけではないようです。

この本において著者がとことん追求しているのが、「よいコミュニケーションとは何か」という問いです。よいコミュニケーションの一例として、「よくわかりあえる」というものを考えてみます。たしかに、スムーズに意思の伝達ができることは魅力的ですし、何よりわかってもらえないよりもわかってもらえた方が自分にとっても幸せそうです。では、お互いの考えが100%わかるようになったらどうでしょう。相手の考えていることがすべてわかっているのに、会話をする必要はあるのでしょうか。また会話をする楽しみは生まれるでしょうか。この考え方から、通じ合わないからこそコミュニケーションが楽しいと思える側面が見えてくるのではないでしょうか。

「よくわかりあえる」コミュニケーションを一例にとりましたが、私たちの想像力は「よいコミュニケーション」=「よくわかりあえる」という前提に、コミュニケーションを閉じ込めているのではないだろうか、と著者は疑問を投げかけます。つまり、この本はコミュニケーションの再考書という位置づけになっているわけです。

著者はその再考のために、過去にコミュニケーションについて論じた人物たちと対話を試みます。それは社会契約説を唱えたルソーであったり、コミュニケーションを初めて社会学の領域で扱ったジンメルであったり…計12人の話者が登場します。もちろん彼らはこの世にはもういません。この本の大きな特徴として、著者が彼らを架空訪問するという一風変わった形式をとっていることが挙げられ、読み物としても楽しむことができます。


日常生活や就職活動など様々な場面で、いまやコミュニケーションは私たちが避けては通ることのできない現象の一つです。この夏は著者の奥村さんとともに、コミュニケーションを巡る思索の旅に出かけてみるのはいかがでしょうか。

2014年8月8日金曜日

ブログ書評第28回 『大学とは何か』

こんにちは、スズキです。


ブログ書評、復活します!

今回ご紹介する本は、吉見俊哉『大学とは何か』(岩波新書1318、2011年)です。


この書評を書いている今日は8月8日ですが、夏の大学と言えば、前期のにぎわう姿から一変して閑散とした場所になり、新たな一面が垣間見えます。高校生にとっては、オープンキャンパスという印象が強いでしょうか?

そんな「まったり」感とは対照的に、世間では大学の問題がさかんに議論されています。学生の学力低下、全入化傾向、教養教育の崩壊、若手研究者ポストの不安定化、グローバル化・・・深刻で、かつ、広く社会に影響する問題もあり、一刻も早くクリアーすべきであることはたしかに言えると思います。

ただ、そのような議論には「何かが欠けている」ように思えるのです。著者も指摘するところですが、大学という概念・システムを根底から問い直す動きが弱いのではないでしょうか。歴史的に、大学はどのようにして生まれ、いかにして変化・成長してきたか。そのような、大学の「人となり」を再確認する作業が、現在の議論に加えるべきものではないでしょうか。

本書は、大学の生成の変遷とその背後にある歴史を追いかけることで、現在叫ばれている問題の淵源がどこにあるのか、未来の大学や知のありかたはどのようなものかということを議論したものです。中世ヨーロッパに始まった大学とはどのような制度だったのか、近代に入り大学はどのようなものになったか、開国以後「輸入」されたのち日本では大学教育がどのように作り上げられ現在に至るのか、等々、大学を歴史的に問い直すものです。

巷の新書にも大学の諸問題を議論するものはありますが、やはり現在にのみ目がいってしまい、話を深めているとしても、その話題が大学概念ではなく他の領域であったり。それはそれで良いのでありますが・・・何か「腑に落ちない」ものがあったのです。同じ大学論としても、それら「告発本」とは一線を画すかたちで本書に読みごたえを感じています。
大学が気になるという方はもちろん、現在の大学生、かつて大学生であった人、これから大学生になろうとする人にも是非読んでいただきたいと思います。








2014年4月25日金曜日

ブログ書評第27回「幸福な食卓」

はじめまして。
新規加入しました服部です。

本日ご紹介させていただく本は、瀬尾まいこさんの「幸福な食卓」という本です。



「父さんは今日で父さんをやめようと思う」で始まる、中学、高校と成長していく主人公佐和子を題材にしたホームドラマ的小説です。
この小説の中で、家族が何か重大なことを発表するのは、いつもの朝の食卓です。
家族全員が揃う朝食の場以外では、それぞれが違う立場や社会におかれており、それぞれがしっかりと強く生きていかなければなりません。しかし、いつでも頼ることができるのも、また家族です。母が別居し、父親は自殺未遂をするなど、一見して崩壊しているような家族ですが、どこか深い部分で強いつながりを持って生きていることが伺えます。

一冊を通して、話に大きなオチがあるわけではありません。途中で主人公佐和子が負う大きな心の傷も、日常の一部として描かれ、また普通に次の朝がやってきて、家族がそろって朝食を食べます。

主人公の年齢と近い方中高生の方は、ぜひ読んで欲しいと思います。

映画化もおり、小説の世界が実に丁寧に描かれています。
原作をお読みになった後、ぜひ映画もご覧になってください。

2014年2月14日金曜日

ブログ書評第26回 『シャイロックの子供たち』

こんにちは!初投稿の太田です。よろしくお願いします。

私事ですが、只今絶賛就職活動中です。説明会に行くと色々な社員の方とお話しするんですが、実際に働くってどんな感じなのかな~とか色々と想像の及びにくいところがあるんですよね。

でも、そういういう所をちょっぴり補ってくれるものがあると思います。「小説」です。
なので、今回は僕も含めて社会ってこんなところかと想像を広げてくれるものを紹介します。


今回紹介する本は、池井戸潤さんの『シャイロックの子供たち』です。



昨年、話題となった「半沢直樹」というドラマの原作を書いているのが池井戸潤さんです。以前、こちらのブログでも原作が紹介されていましたね。この作品も、銀行が舞台です。行員一人一人の動き、出来事が短編で場面が進んでゆきます。あー銀行を描いただけかと思う人もいるかもしれませんが、ただ銀行の内部を描いた作品ではないというのが面白いところ。ちょっとした事件が起き、短編の中で真相が明らかになってゆきます!

なので、組織のリアリティがあるところも、人間模様が面白いところも、そしてミステリーとしても楽しめると、楽しめる場所が多い小説です。

小説なので、内容はこのくらいにして…
余談ですが、この小説は金融機関に勤めているOBの方に紹介されたのがきっかけで触れました。話によると「あ~あるある」という事が書かれているそうですよ。

組織でどう仕事をするか、これを読んで少し考えてみませんか?ご一読を!
では、またお会いしましょう!

ブログ書評第25回『失敗の本質』

 初めまして、新たにビブリオバトル信州に参加しました、大嶋です。
今回は私が書評を投稿させていただきます。

 
今回私が紹介させていただく本は『失敗の本質 日本軍の組織的研究』という本です。この本は組織論の専門家の方々が第二次世界大戦中の日本軍の失敗を分析して現代の組織への教訓を得ようという目的で書かれた本です。

この本は三部構成なのですが、まず最初の章でミッドウェー海戦やインパール作戦といった第二次大戦中の実際の日本軍の失敗の事例を挙げ、それを踏まえた上で二部、三部で分析を行っています。第二次大戦中の日本軍を分析した本は数多く出版されていますが、この本の特徴は組織論の観点から分析を行っている点です。例えば、ミッドウェー海戦では暗号をアメリカ軍に解読されていたことが敗北につながった事はよく知られていますが、この本ではそれ以外にも突発的な状況での司令官の判断や情報伝達の不足などを指摘しています。

これらの事例を紹介した上でタイトルにある日本軍の『失敗の本質』として組織学習のなさとリーダーシップの欠如を挙げています。個人的には本書の特徴でもある分析の部分で人的ネットワークや組織の環境適応、学習など中々現実に当てはめにくい組織論を使って分析しているのは自分の所属する組織を分析するうえで非常に参考になりました。

皆さんも是非組織論が現実にどのように当てはまるのかを見てみてください。

2014年2月10日月曜日

ブログ書評第24回『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』

はじめまして、こんにちは。
新しくビブリオバトル信州に参加させていただきました、村上です。
今回は私がブログ書評を投稿させていただきます。


今回紹介するのは、浦坂純子『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』(ちくまプリマー新書)です。



この本は私が実家を出て一人暮らしを始める際に母が持たせてくれたのですが、今まで手をつけてきませんでした。それから2年が経ち、私の大学生活も順調にいけば折り返し地点となった今、この本の存在を思い出しました。どうして自分は大学に通っているのか、その意味を再考する良い機会にもなり、書評のネタとしても使えると思い、今回初めて手をつけてみました。

私たち大学生が卒業し就職した後、定年まで働き続けるとするのならば、就労年数はおよそ40年となり、それは私たちの人生の大半を占めることになります。一生働かずに済むような人などあまりいないでしょうから、多くの人において「生きること」と「働くこと」は不可分であると言えます。人は誰しも自分の生き方を考えるとき、「良く生きたい」と思うはずです。「自分は人よりも良い人生を送らない方が満足だ。」と言う人は、私は聞いたことがありません。よって、「良く生きること」は「良く働くこと」につながります。「良く働くこと」とはどういうことか。それは、高い賃金がもらえたり、自分のやりたいことができる環境が整っていたり、手厚い保障があることなどを意味すると思います。多くの人がそれらの条件がそろった職場で働きたいと思うでしょうから、競争となり、それに勝つ必要があります。企業はどんな人材を欲しがるか、それは「パフォーマンスの高い人間」と言えるでしょう。パフォーマンスの高い人間を見分けるかの判断に「大卒」という言葉は大きな影響を与えています。なぜ大卒という言葉がそのような価値を持っているのか、①高卒者よりも大卒者の方が平均的に仕事ができるという「統計的差別」、②大卒者の方が知識や技能が身についており、仕事で高いパフォーマンスが発揮できるという「人的資本論」、③大卒者とは、『その大学の入試を突破できる「チカラ」を持っている』という証である、という「シグナリング理論」の3つの観点から説明することができます。

まとめると、良い人生を送るためには良い仕事に就く必要があり、大学を出ていると良い仕事に就ける可能性が高くなる、ということですね。

大学で勉強する意味が全て将来良い仕事に就くためと論じるのは無理があると思いますが、なかなか説得力のある文章だと感じました。「大学は出ておきなさい」と言われ、それが将来就職に役立つものであることは、以前からなんとなく感じていましたが、ここまで文章化し整理して説明されたことはなかったので、なるほどと頷きながらページを進めていました。

最後に、この本を読んでいてどきっとした言葉を紹介します。『教育がお金と時間を浪費するだけの「消費」になっていませんか?』…私は耳が痛くなってしまいました。信州大学は先週から春期の長期休業期間に入りました。だらだら過ごしがちな長いお休み、少しでも自分の資本を蓄積(少なくとも維持…)できるような春にしたいですね。

2014年1月11日土曜日

ブログ書評第23回『知れば知るほど面白い日本語のマルトク雑学』

こんにちは。ビブリオ信州のKです。遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年もビブリオ信州をよろしくお願いします。

更新が滞り申し訳ありません。きょうはブログ書評です。

今日紹介させていただく本は、三笠書房から出ている「知れば知るほど面白い日本語のマルトク雑学」です。
先日、学習指導要項改訂についての報道がありました。特に英語教育の強化がポイントになるそうです。英語が使えないとこの社会を生き抜くのは難しいでしょう。しかし普段使っている「日本語」をおろそかにすることはできません。母語と外国語、どちらに重みを置けばいいのだろうと思っていたところ、この本のことを思い出しました。

本についての紹介ですが、知っていそうで実はあいまいに覚えている単語の解説や成り立ちが示されています。どこからでも読めます。ちょっとした空き時間にもお勧めです。

たとえば「そっぽを向く」という言葉がありますね。この「そっぽ」ってどこなのでしょうか。
この「そっぽ」を漢字で書くと「外方」となり、武士の放った矢が想定外の方向へ飛んで行ったときに使われていたそうです(なかなか恐ろしいですね…)。僕もこの本を読むまでは何の違和感もなく使っていた言葉ですが、実はこんな成り立ちがあったのです。

…といったように、1つの言葉についてだいたい1ページほどにまとめられています。正直なところを言ってしまうと、この知識を知らなくても生きていけるんです。でも知るとちょっと得した気になりますよね。誰かに教えたくなりますよね。そのなかで、日本語の面白さを感じ取ってもらえたらなあと思います。普段何気なく使っている言葉にも、実は面白い意味が隠されているのです。

今回は日本語についての本を紹介させていただきました。ですが、このブログを読んでいる皆さん、日本語のみならず外国語の勉強もしっかりやりましょう(笑)