2014年2月14日金曜日

ブログ書評第26回 『シャイロックの子供たち』

こんにちは!初投稿の太田です。よろしくお願いします。

私事ですが、只今絶賛就職活動中です。説明会に行くと色々な社員の方とお話しするんですが、実際に働くってどんな感じなのかな~とか色々と想像の及びにくいところがあるんですよね。

でも、そういういう所をちょっぴり補ってくれるものがあると思います。「小説」です。
なので、今回は僕も含めて社会ってこんなところかと想像を広げてくれるものを紹介します。


今回紹介する本は、池井戸潤さんの『シャイロックの子供たち』です。



昨年、話題となった「半沢直樹」というドラマの原作を書いているのが池井戸潤さんです。以前、こちらのブログでも原作が紹介されていましたね。この作品も、銀行が舞台です。行員一人一人の動き、出来事が短編で場面が進んでゆきます。あー銀行を描いただけかと思う人もいるかもしれませんが、ただ銀行の内部を描いた作品ではないというのが面白いところ。ちょっとした事件が起き、短編の中で真相が明らかになってゆきます!

なので、組織のリアリティがあるところも、人間模様が面白いところも、そしてミステリーとしても楽しめると、楽しめる場所が多い小説です。

小説なので、内容はこのくらいにして…
余談ですが、この小説は金融機関に勤めているOBの方に紹介されたのがきっかけで触れました。話によると「あ~あるある」という事が書かれているそうですよ。

組織でどう仕事をするか、これを読んで少し考えてみませんか?ご一読を!
では、またお会いしましょう!

ブログ書評第25回『失敗の本質』

 初めまして、新たにビブリオバトル信州に参加しました、大嶋です。
今回は私が書評を投稿させていただきます。

 
今回私が紹介させていただく本は『失敗の本質 日本軍の組織的研究』という本です。この本は組織論の専門家の方々が第二次世界大戦中の日本軍の失敗を分析して現代の組織への教訓を得ようという目的で書かれた本です。

この本は三部構成なのですが、まず最初の章でミッドウェー海戦やインパール作戦といった第二次大戦中の実際の日本軍の失敗の事例を挙げ、それを踏まえた上で二部、三部で分析を行っています。第二次大戦中の日本軍を分析した本は数多く出版されていますが、この本の特徴は組織論の観点から分析を行っている点です。例えば、ミッドウェー海戦では暗号をアメリカ軍に解読されていたことが敗北につながった事はよく知られていますが、この本ではそれ以外にも突発的な状況での司令官の判断や情報伝達の不足などを指摘しています。

これらの事例を紹介した上でタイトルにある日本軍の『失敗の本質』として組織学習のなさとリーダーシップの欠如を挙げています。個人的には本書の特徴でもある分析の部分で人的ネットワークや組織の環境適応、学習など中々現実に当てはめにくい組織論を使って分析しているのは自分の所属する組織を分析するうえで非常に参考になりました。

皆さんも是非組織論が現実にどのように当てはまるのかを見てみてください。

2014年2月10日月曜日

ブログ書評第24回『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』

はじめまして、こんにちは。
新しくビブリオバトル信州に参加させていただきました、村上です。
今回は私がブログ書評を投稿させていただきます。


今回紹介するのは、浦坂純子『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』(ちくまプリマー新書)です。



この本は私が実家を出て一人暮らしを始める際に母が持たせてくれたのですが、今まで手をつけてきませんでした。それから2年が経ち、私の大学生活も順調にいけば折り返し地点となった今、この本の存在を思い出しました。どうして自分は大学に通っているのか、その意味を再考する良い機会にもなり、書評のネタとしても使えると思い、今回初めて手をつけてみました。

私たち大学生が卒業し就職した後、定年まで働き続けるとするのならば、就労年数はおよそ40年となり、それは私たちの人生の大半を占めることになります。一生働かずに済むような人などあまりいないでしょうから、多くの人において「生きること」と「働くこと」は不可分であると言えます。人は誰しも自分の生き方を考えるとき、「良く生きたい」と思うはずです。「自分は人よりも良い人生を送らない方が満足だ。」と言う人は、私は聞いたことがありません。よって、「良く生きること」は「良く働くこと」につながります。「良く働くこと」とはどういうことか。それは、高い賃金がもらえたり、自分のやりたいことができる環境が整っていたり、手厚い保障があることなどを意味すると思います。多くの人がそれらの条件がそろった職場で働きたいと思うでしょうから、競争となり、それに勝つ必要があります。企業はどんな人材を欲しがるか、それは「パフォーマンスの高い人間」と言えるでしょう。パフォーマンスの高い人間を見分けるかの判断に「大卒」という言葉は大きな影響を与えています。なぜ大卒という言葉がそのような価値を持っているのか、①高卒者よりも大卒者の方が平均的に仕事ができるという「統計的差別」、②大卒者の方が知識や技能が身についており、仕事で高いパフォーマンスが発揮できるという「人的資本論」、③大卒者とは、『その大学の入試を突破できる「チカラ」を持っている』という証である、という「シグナリング理論」の3つの観点から説明することができます。

まとめると、良い人生を送るためには良い仕事に就く必要があり、大学を出ていると良い仕事に就ける可能性が高くなる、ということですね。

大学で勉強する意味が全て将来良い仕事に就くためと論じるのは無理があると思いますが、なかなか説得力のある文章だと感じました。「大学は出ておきなさい」と言われ、それが将来就職に役立つものであることは、以前からなんとなく感じていましたが、ここまで文章化し整理して説明されたことはなかったので、なるほどと頷きながらページを進めていました。

最後に、この本を読んでいてどきっとした言葉を紹介します。『教育がお金と時間を浪費するだけの「消費」になっていませんか?』…私は耳が痛くなってしまいました。信州大学は先週から春期の長期休業期間に入りました。だらだら過ごしがちな長いお休み、少しでも自分の資本を蓄積(少なくとも維持…)できるような春にしたいですね。