2015年8月31日月曜日

ブログ書評第31回 『終戦のローレライ I』


大学生の夏休みはまだ半分ある!第2回ブログ書評は小田が担当します。
今回紹介するのは「終戦のローレライ I」。亡国のイージスなどで有名な福井晴敏さんの作品です。

太平洋戦争中、ナチスドイツ降伏後の絶望的な状況にある日本。国を失ったナチスドイツの潜水艦が特殊兵器「ローレライ」を日本に運ぶも、米海軍の追撃により五島列島沖に「ローレライ」は置き去りになってしまう。
海軍少佐 絹見真一を艦長とした潜水艦 伊507は日本の運命を左右する「ローレライ」の回収に向かう。

文庫本では全4巻あり、1巻では物語の始まりと様々な伏線が張られているのですが、長期の戦争によって疲弊した日本の様子や登場人物の憂いが描かれています。海軍が特攻兵器に重きが置かれていく様に諦めのような感情を抱く主人公の心情、個人的に好きな描写でもあります。
また詳細なミリタリー表現もこの作品の魅力です。大まかには専門用語や常識について説明がなされているのですが、興味が湧いた僕は読みながらスマホで検索していました。軍隊に興味のない方、その手の知識が全くない方には取っ付きにくい本かもしれません。その点は、少し前に話題となった「永遠の0」(百田尚樹)と同じかもしれません。

終戦70年ということでいろんな作品が話題になっていますが、この本でみなさんも考えてみてはどうでしょうか。(小田)

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